HCインカム〜夢のたね
ファンドの特徴
1. 運用の目的
1) コンセプト
- 複数ファンドを組み合わせるファンドオブファンズ型です。
- 年率2-3%の安定利回りを追求し、世界のインカム資産に分散投資します。
- 円債程度の価格変動を目指します。
- 債券ファンド中心の構成で、資産保全を重視し、限定的にインフレ連動性のある株式ファンドや不動産ファンドを組み入れます。
- 2-3%のクーポン、利回りを図るため、市場環境の変動に応じて、ポートフォリオ構成を調整します。
- 信用リスクに依存しないよう、インカム源泉を分散します。
- 金利リスクは抑制し短期債中心の構成にします。
2) 戦略概要
- 目的
- インカムを重視し価格変動を抑制しつつ安定的な収益の達成を目指します。
【高利回り追求】【短期回収方針】
事業や資産が生み出すキャッシュフローを重視し、相場の波に追随することは目的としません。金利リスクは抑制します。
資産保全を重視し、インフレ連動資産を組み入れます。ファンドの残高に応じて組入資産の分散を図ります。 - 付加価値源泉
- 1)事業会社の債務弁済余力、2)事業会社のキャッシュフロー成長力、3)資産が生み出すリース料
- リスクファクターと管理方法
- 【金利リスク】: 短期戦略中心とすることで金利リスク抑制
【市場リスク】: 地域と資産を分散することでボラティリティ抑制
【為替リスク】: 原則為替ヘッジ。オーバーヘッジを避けるためヘッジ比率は95%目途。 - 主たる投資対象
- 世界各国の債券、ローン、不動産、株式。定期分配が期待されれば流動性にはこだわりません。
- 目標リターン
- 円建て2-3% (円ベース、各種報酬控除後)
標準偏差は2-3%目標。 - 形態
- ETFやファンドの組み合わせ。
- 基軸通貨
- 日本円。外貨建て資産は原則ヘッジ。現在のヘッジ率は90%です。
- レバレッジ
- 投信レベルのレバレッジはありません。
2. HCインカムの投資のアプローチ
1) 注目する投資機会
投資の世界はモノの世界と似ています。ある商品が大量生産されると価格は下がり、希少性の高い商品は価格が上がります。
私どもは、価格が下がりにくく、利回りの魅力が高い投資対象を常時探しています。世界中の投資可能な資産を対象としています。
- 健全な企業が発行する社債は、満期時に100円償還される可能性が高いため、価格変動はあっても、実損にはつながりにくい特徴があります。コロナショック時のように、投資家の換金ニーズが高まれば売り圧力が高まり、価格は下がりますが、却って投資機会に該当します。
- 資本規制の影響で、銀行が資金を供給しにくい対象や状況
- 銀行は預金者保護のため、資本規制を受けていますが、規制が強化されると、一時的に資金を供給する余裕がなくなる場合があります。また、自己資本の余裕を確保するために、規制強化の対象となった融資先の債権や保有株式などを売らざるを得なくなる場合があります。
- 専門的知見が求められる投資対象
- 概して新たな投資対象や、分析する要素が多く、評価に手間がかかる投資対象は、プロしか参入せず、需給が崩れにくい傾向があります。
- 専門的知見のない投資家の場合、市場変動を恐れて安く売却する傾向があり、投資機会につながります。
- 企業特有の事象で市場が崩れる場合
- 2011年3月の東日本大震災における原発事故で、電力株は一斉に売られました。沖縄電力は原発を持っていませんでした。
- 特定企業の有価証券を私どもが直接売買することはありませんが、類似の考え方で投資する運用チームを選定します。
特定企業の事象で業界全体が売り圧力を受ける場合、当該事象と無関係な企業の株価や社債価格などは割安と判断しうることがあります。
投資機会を特定したのちは、考えられる様々な投資方法の中から最も効率よく投資できる方法を選定します。
- 例えば、新興国における中間所得者層の広がりで、観光需要が増加する可能性に注目するとします。投資する方法としては、観光業を営む会社に投資する方法や交通機関に投資する方法があります。観光業に投資する際は、旅行会社にお金を貸す、旅行会社の社債または株式を取得する、ホテルを取得するなどがあります。交通機関に投資する際は、鉄道や航空会社に投資するほか、鉄道や飛行機を保有してリースする方法があります。
2) 良いファンドを見極める
戦略の妥当性
私どもは制御可能なリスクアペタイトフレームワーク(Risk Appetite Framework 以降RAFといいます)を応用して、投資目的が明確な戦略を選択します。
投資とは制御可能なリスクを取ることでリターンを得ることであり、どのようなリスクを取り、どのようなリスクを最小化するか(主としてマクロリスク)が重要です。RAFではリスクを以下の3つに階層化して管理します。
- 本源的リスク(意図的に取るリスク)…投資によって得られるリターン源泉のことで、投資機会そのものを指します。資金調達する企業が、資金を活かして利益を出せるかを見極める責任を負うのはファンドの運用チームです。私どもは、ファンドの運用チームが専門性、知見、経験を活かして、割安な価格で取引されている有価証券を見極める際、どのような価値観、基準で選定するのかをを慎重に見極め、その合理性、妥当性を検証します。さらに、運用チームが掲げる目標リターンが、足元の投資環境で達成可能かどうか、論理的期待リターンを検証し、結論が異なる場合は、運用担当者と徹底的に議論します。
- 付随リスク(管理するべきリスク)…1.のリターン源泉を追求するにあたり、付随してついてきてしまうリスクは、管理しなければなりません。需給が崩れることに伴う市場リスクや、為替リスク、金利リスク、規制リスクなど、投資対象の本業を取り巻くマクロ的リスクが該当します。ファンドの運用チームが、管理するべきリスクを明確に定義し、妥当な管理方法を実行しているかどうかを検証します。
- 例えば、外国企業の株式に投資しようと思えば、為替レートや景気変動などのリスクが付随します。社債に投資しようと思えば、信用リスク以外に金利リスクが付随します。リターン源泉以外のリスクは分散する、ヘッジするなど、可能な限り最小化する工夫が望ましく、ファンドの運用チームの考え方や対応法を確認し、妥当性を検証します。
- 非本源的リスク(決して取ってはいけないリスク)…運用チームに専門性がなく、投機的賭けの要素が高いリスクに手を出すと、運用が失敗する可能性は高まります。私どもは、運用チームの専門外の領域を見極め、レッドカードとなりうる領域を特定します。ファンドの運用チームが、いけないリスクに手を出した場合は、可及的速やかに解約する要因となります。
- 例えば、長期投資を得意とする運用チームが、急にトレーディングを始める場合。特定事業セクターの専門性がないにも関わらず、株価上昇中の人気銘柄に投資する場合。単に安いからといって、倒産可能性の高い企業の社債を取得する場合。運用チームごとに専門性が異なるため、個別に特定します。
上記ポイントに沿って、戦略の妥当性を検証します。
ある時点で問題ないと判断しても、人や会社は時間が経つと変化するため、定期的なレビューが必要です。何が生じるかわからないため、アクティブ戦略は、常時、入替対象のファンドを事前に用意しておく必要があります。
運用会社のフィデューシャリー文化
ファンドの運用会社が投資家の利益を最優先し、運営しているかを確認します。利益相反の可能性がないか、運用報酬は妥当か、情報開示や顧客サービスは十分か、フィデューシャリー文化は醸成されているかを総合的に判断します。投資後もフィデューシャリー文化が保たれているか随時モニタリングします。
- 例えば、運用会社が運用報酬をより多く稼ぐために投資可能額以上の資金を集めてしまうことがあります。
- 一般的な運用報酬水準だからといって、報酬設定に根拠がないケースがあります。
- 似たようなファンドを次々と設定する場合がありますが、本来ひとつのファンドに集約することで、経費還元できるはずです。
- 親会社または経営陣の圧力により、信念を曲げて投資範囲を広げるケースがあります。
ファンドの仕組みの妥当性
投資対象の特性と、ファンドの諸条件に矛盾がないか。経費率や運用報酬の設定は妥当か。ファンドを支える管理会社やカストディー銀行、監査法人、弁護士事務所は信頼がおけるか。売買手続きが投資家不利ではないか。そうした様々なファンド諸条件を精査し、妥当性を検証します。
- 市場ではあまり取引されていないにもかかわらず、日次売買可能なファンドのほうが売りやすいからと、投資対象とファンド条件が不一致な場合があります。
- 経費率の内訳をみると、営業費用が上限なしに経費に組み込まれているケースがあります。本来運用会社が負担するべきものです。
- ファンドの実績に対して、運用報酬が高すぎる場合は、投資家と運用会社のリスク負担が不公平です。
3) ポートフォリオの構築・運用
- ポートフォリオの構築
選定したファンドを組み合わせてポートフォリオを構築します。HCインカムは年2-3%の円建てリターンを目標としており、価格変動を低く抑えつつ目標を達成することができるよう、ポートフォリオの最終利回り、クーポン、リターンの標準偏差で測定されるリスクのバランスを維持するべく、分散に配慮して構築します。RAFをもとに明確化したリターン源泉の適切な分散を図り、相関が低い戦略を組み合わせることで、より安定した運用を目指します。 - ポートフォリオのモニタリング・リバランス
原則四半期ごとに、ポートフォリオが目標である円建て年2-3%のリターンを達成しうる利回り水準、クーポン水準を維持できているかをモニタリングします。クーポンが不変でも、時価が上昇すると、利回りは低下し、時価が下落すると利回りは上昇します。原則一定クーポンを維持しつつ、利回り水準を調整します。
新たな投資機会が出てきた際には、投資の魅力度を相対的に比較し、旬を過ぎた投資機会と入れ替えることがあります。金利水準や為替ヘッジコストの変化や、各国の金融規制の変化に伴い、資金の流れが変わる際に生じやすくなります。
良いファンドであっても、投資戦略の魅力度が落ちれば配分調整します。また、戦略の魅力度は維持されても、ファンドの運用チームに問題が生じた場合は、同じ戦略でファンドを入れ替えることがあります。
私どもの問題意識は、早い段階から報告し、突然変化が生じないよう配慮します。
3. 投資対象
1) ETFを通じて投資する債券 (出所:運用会社)
- 広く分散投資することがふさわしい債券は、コスト効率を鑑み、ETFを通じて投資します。
- 米国
- 最大セクターの米国債券市場については、投資したい債券を選別するため、複数ファンドに分散します。
- ETFで分散するのは中期国債、短期社債、法人向けローンです。
- 法人向けローンはアクティブ型のETFを選出。運用会社が元利弁済に問題がないと判断したローンに分散投資します。
- 欧州
- 欧州債券は、市場全体に投資します。
- 国債・政府機関債が多く、社債や住宅ローン債券は少ない特徴があります。資産担保証券の比率はカバードボンドを除いては0.0%です。
- 米国ローン(出所:SRLN)
2)米国債券(出所:運用会社)
- 米国債券の広いユニバースに存在する非効率性に着目、ボトムアップによる銘柄分析を通じて、ミスプライスの機会をとらえます。割安にみられているセクターの配分を増やすなど、ベンチマークにとらわれない柔軟な運用を行います。原則投資適格以上の債券に投資します。
- 特に大手運用会社と比較しても相対的に運用規模が小さいため、社債に比べて流通量が少ない資産担保証券などに投資可能であり、チームの意思決定は迅速かつ厳格な哲学に基づいています。
- 債券運用に特化した運用会社でこそ可能な、経験豊富で層の厚い運用チームによる徹底した銘柄分析と細やかなミスプライスをとらえるポートフォリオ運営で追加収益を積み上げます。
3) 米国期近MBSの魅力 (出所:運用会社)
- MBSはMortgage Backed Securitiesの略で、住宅ローン担保証券とも呼ばれます。
- 米国では不動産仲介会社が住宅ローンを提供し、同日付で政府系住宅公庫に債権を転売、政府系住宅公庫が類似属性のローンを束ね、弁済キャッシュフローと連動する有価証券を発行する仕組みがあります。
- 住宅ローンは借り換え可能です。借り換えが進むと、政府系住宅公庫は有価証券を償還するため、35年の住宅ローンであっても、有価証券は早めに償還されます。
- 期近MBSは10年以上前に発行された高金利住宅ローンの有価証券です。借り換えされにくい住宅ローンの属性を熟知する専門の運用会社が銘柄選択します。過去の金利低下時に借り換えられなかった住宅ローンの属性例は下記のとおりです。
◇ 大農場地帯の農業主 → 銀行まで遠く、日銭商売であるため、金利動向にあまり関心がない
◇ 残高が500万円程度になったもの → 借り換えコスト負担が割高になる
◇ 借入金額が大きくないもの → 超高級住宅は対象外
- 米国GDPのおよそ7割を占める個人消費のなかで、住宅ローンの安定供給は常に重要な政策項目です。
- 2008年リーマンショックの際も、真っ先に米国政府が対応したのが住宅ローンの安定供給でした。
- 現在、利上げで住宅ローン金利は上昇し、早期借換率は低下したため、満期保有目的のファンドにとって、運用環境は悪くありません。売り圧力による価格変動に留意しつつ投資機会を厳選します。
4) 小口融資案件の魅力 (出所:運用会社)
- 米国リノベーション業者向け有担保ローン戦略に投資します。
- 社債利回りの低下を補う戦略として、需要および社会的意義が高く、分散された投資対象として選定しました。
- 銀行は住宅ローンが主で、短期回収が見込まれる取引型のローンは、審査負荷と金利収入のバランスから積極的ではないケースが散見されます。
- 分析能力の高いオンラインファイナンス会社を選定し、個々のローンの弁済キャッシュフローと連動する貸付(ABLの一種)をすることで資金効率を高めます。ビッグデータを活用し、地域の人口動態、家族構成、賃金推移、物件の需給や間取りの傾向分析、借り手の信用審査を瞬時に行い迅速に貸付条件を定めます。
- コロナで在宅勤務が浸透するなか、戸建て住宅の需要は想定よりも増えています。
- ミレニアムの住宅需要が高まるなか、コストを抑制し、中古住宅を活用することに、社会的意義があります。
- 流動性の制約から、組み入れは33%程度とします。
- 取引事例
リノベーション業者は、各地の工務店に代表される個人事業主です。
リノベーション業者は、立地や改装計画を踏まえて、中古物件を購入し、水回りや外装の改装をしたのち、売却します。
1年未満の短期ローンで、貸付金利は10%程度です。
改装事例
市場規模と典型的な融資例
5) 欧州ABS (出所:運用会社)
- 欧州にて発行されたABS(資産担保証券)のうち、格付が投資適格以上の証券に投資します。ABSは住宅ローンや消費者ローン、企業向けローンなどを裏付けとして発行された証券であり、裏付けローンの創出するキャッシュフローを享受することできます。
- 欧州ABSは米国のABSと比べると市場規模が小さいため注目されにくく、投資適格債券でも比較的高い利回りを期待できます。ABSは変動金利型で、金利リスクは抑制されています。欧州ABSはユーロ建てもしくは英ポンド建てで発行されるため、米ドルに対する通貨分散効果も見込めます。
- 運用チームは、2001年から欧州ABSを運用し続ける経験豊富なチームで、高い専門性や広いネットワークを駆使して魅力的な証券を発掘・投資します。
6)国内株バリュー戦略(出所:運用会社)
- 様々な理由により割安な状態に置かれた株式の中で、割安状況の解消が見込める銘柄に投資することで、超過収益の獲得を目指します。
- 注目する事象は、事業再編、事業価値の再評価、行き過ぎの修正。特に「事業構造・内容の再構築」により割安状況が解消される銘柄への投資に注力します。
- 企業との会話を通じて、経営陣と課題認識を共有し、課題解決に向けた施策実行の後押しを行います。
- MBSは住宅ローンを債券化したもので、格付別に流通しています。投資適格債券のなかでも、政府保証付きのAgency MBSのみならず、無保証の住宅ローン担保証券(RMBS)、商業不動産ローン担保証券 (CMBS)、小口ローン担保証券(ABS)、 法人ローン担保証券(CLO)に注目し、米国外では欧州のRMBS、CLOを投資対象とします。
- 割安に取引されている銘柄を発掘し、適正時価に収れんしたら売却するため、インカム目的で持ち切り方の米国期近MBSとはアプローチが異なります。
- ポートフォリオ構築はボラティリティの抑制を重視しています。
- アジアは他エマージング市場と比較して経済成長力が相対的に高く、企業のレバレッジ率が低い特徴があります。また、アジアドル建債は米国債に比べて利回りの魅力が高いことから注目余地が高いです。
- アジア諸国の経済成長と市場の非効率性に着目し、本質的価値より割安で取引される債券に投資することで、トータルリターンの獲得を目指します。主なリターン源泉はスプレッドの解消で投資適格の債券に注目します。
- ベンチマークにとらわれずに、国、業種、年限、満期の異なる債券の中から、市場環境の変化に応じて最適な債券を積極的に選別しています。投資適格債に限定し、格下げの場合はBB格を最大10%とし、新発債や劣後債にも配分します。主なリターンの源泉は銘柄のクレジットスプレッドの縮小、地域セクター配分です。
- トップダウンの分析とボトムアップの銘柄選定を組み合わせることで割安解消(格上げ、キャッシュフローの改善など)可能性のある債券の取得機会を積極的かつ継続的に探ります。最も重要なのはボトムアップによる発行体の分析であり、企業の競争力、収益性、財務状況、経営陣の資質、財務方針の評価に加えて、特に企業の将来の信用力の変化を評価することを重視します。
- 主に米ドル建ての債券に投資しています。
今後注目する投資機会
7)グローバルMBS(出所:運用会社)
8)アジア債券(出所:運用会社)
4. 夢のたねQ&A
Q1:日本では金利上昇/マイナス金利解消の環境下でHCインカム~夢のたねは投資対象としてどうなりますか?
当ファンドは、長期的に、年間2-3%(費用控除後)の安定した運用収益を目標としています。日本国債の利回りは上昇傾向ですが、現在、10年債利回りは1.0%程度で上昇は小幅です。目標リターンを達成するためには引き続き海外の投資機会に着目します。価格変動リスクを抑制しながら目標目線にあった投資機会に幅広く投資することができる投資信託が有利であり、当ファンドは魅力的な投資対象だと考えます。
Q2:今後、ファンドの組み入れ資産は変わっていくと想定しますか?
ファンドは年2-3%のインカム獲得、短期債券中心構成により金利による価格変動を抑えること、を特に意識したポートフォリオ構成をとっています。金利は予測することが極めて難しいという考えから、弊社では金利の影響をなるべく抑えた運用を行うというアプローチを常にとっています。金利の影響を抑制していますが、ゼロにできるわけではなく、利下げの局面ではファンドの保有する債券戦略にとっては有利な環境であると考えます。一方で、確かに今後欧米で利下げが行われれば債券市場は好調となる可能性が高いですが、いつ・どの程度利下げが行われるかの予測は困難であり、市場の波に乗ろうといたずらに金利の影響が大きく出るポートフォリオ構成に変えることは考えていません。あくまであらゆる環境において、インカムで2-3%のリターンを獲得するというのが当ファンドの目標です。
Q3:日本の金利上昇した後も海外資産に注目する必要ですか?
現在は欧米の債券、ローン、一部日本株を中心に組み入れています。高水準のインカム収益を確保できている一方、価額変動が抑制されている資産を組み入れています。利回り、資産、通貨分散の観点から引き続き海外資産の組み入れは重要です。
細かい話にはなりますが、当ファンドは為替ヘッジを実行しており、外貨との金利差はヘッジ費用として支払っています。つまり、日米の金利差が5%以上ある現在の環境では、USDの為替の動きを相殺するために5%以上のコストを払っている状況です。日本の金利が上昇すれば、金利差が縮小し、為替ヘッジコストが少なくなるため、当ファンドのような為替ヘッジを行う外貨投資においては利回り改善の恩恵があります。
また弊社が国内の債券にほとんど配分していないのは、国内債券市場は欧米と比べると債券の種類が少なく、弊社が注目するようなニッチな投資機会が探しにくいという理由があり、国内金利が低いことと別の要因もあります。
今後は、ファンドサイズの成長に伴い、不動産戦略など、投資対象の幅が更に広がることも想定しています。もちろん、日本債券も魅力的な投資機会が出てくる段階になれば、組み入れを考えていきます。
Q4:為替の変動は、ファンドにどのような影響を与えますか?
「為替リスク」は、各国の政策が絡むことや投機筋の取引対象となりやすいことから、変動率が高く、抑制すべきリスクだと考えています。
当ファンドは、長期的な安定性を追求しているため、価格変動幅抑制を図っており、原則外貨に対して為替ヘッジを行っています。足元では、為替ヘッジコストが高騰しているため、コストを勘案してヘッジ比率を引き下げていることから、外貨の値動きの10-15%程度がファンドの値動きに影響します。つまり、為替が10%動いた場合、そのうち8.5-9.0%%は為替ヘッジにより相殺され、ファンドには1.0-1.5%の影響があるというイメージになります。